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経結膜下眼瞼形成術③|目のくま|医師 百澤明ブログ

投稿日: 目のくま

-皮膚・眼窩脂肪切除から温存へ-

<眼窩脂肪の温存について>
今回は、私が眼窩脂肪切除(いわゆる脱脂)よりも、眼窩脂肪移動術を第一選択にしているかを述べます。

1997年ベルギー、ブリュッセルのDr. H Ederは、1995年のDr. Hamraの論文報告を踏まえて、“Importance of Fat Conservation in Lower Blepharoplasty”という題の論文を発表しました。
“下眼瞼形成術における(眼窩)脂肪温存の重要性”という意味です。

顔面には老化によって、さまざまな変化があらわれます。骨格の変化、軟部組織の変化、皮膚の変化、それぞれ詳細に老化による変化が解き明かされています。
その中で、“Skeletonization”という言葉があります。日本語に訳すと“骸骨化、白骨化”でちょっとこわい言葉ですが、
10代、20代と年齢を重ねて中年をすぎると、徐々に顔面の骨の形が分かるようになってきます。80代、90代のご老人のお顔を拝見すると、こめかみや目の周囲の骨の形が分かるようになってきます。これが、老化にともなう“Skeletonization”です。徐々に、顔面・頭部の軟部組織がやせてくることによって生じます。「これから減っていくのに取って捨てるのは良くない、温存するべきだ!」というのが、Dr. HamraやDr. Ederの主張です。

私はこの意見に賛同しています。最近では、日本でも眼窩脂肪切除を単独で用いるのは避けて、また、取る量もなるべく少なくという考え方が浸透しつつありますが、簡便なので単なる眼窩脂肪切除が安易に行われて、その結果、下眼瞼が陥凹したり、貧相になったりして、後悔するというケースがいまだに後を絶ちません。

近年、長持ちするヒアルロン酸注入剤が開発されたこともあり、ヒアルロン酸注入による顔面の若返りが盛んにおこなわれるようになりました。この基本にあるのは、Volume restorationという概念、“ボリュームを補充する”です。この観点からも、せっかくの軟部組織をむやみに減量することが“もったいない”ことだという感覚が理解できると思います。

以上の理由で、私はなるべく眼窩脂肪は切除せずに、下眼瞼の手術治療を行っています。
よほど目袋の大きな方や腫れぼったい方の場合にのみ、少し眼窩脂肪を減量し調整することにしています。

百澤 明

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