バッグの選択はどのようにしたらよい?|豊胸|よくあるご質問

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豊胸

  • バッグの選択はどのように行われるのでしょうか?

バッグは周囲の膜と中身からできています。周囲の膜は通常シリコンでできています。この膜は見た目には穴が開いていなくとも、水分や空気は長年の間に出入りすることが多く、こういった観点からも中身は非常に安全なもの(生食バッグ)、または安定性のあるもの(コヒーシブまたはソフトコヒーシブシリコン。シリコンジェルバッグは、何かあった際に漏出すると周囲の組織に浸透していき、反応して摘出不能となるため、現在は用いられていません)が求められます。
中身が体の水分に近いものが入っているのが生理食塩水バッグです。これは挿入・摘出の前に中身を出し入れすることが可能な為に小さな皮膚切開での手術が可能で、万が一何かあっても中身は水ですから、非常に安全性が高いことが挙げられます。ただ、水を出し入れするバルブを後から閉めるため、この小さな隙間から水分が徐々に漏れ出して小さくなっていってしまう可能性があること、また、一枚のシリコンの膜に包まれているだけですので破損の可能性も高く寿命が短いこと、更にさわり心地が不自然なことから当院ではあまりお勧めしていません。
次に、中身がハイドロジェルやハイドロジェルの仲間のCMCとなっているのがハイドロジェルバッグ、CMCバッグです。これらは基本的に触り心地はよいのですが、一枚の膜のみで覆われているために、バッグとしては耐久性に多少難があることは生食バッグと同様です(バルブがない分、多少は強いのですが)。ただ、これらのバッグの問題点は、ハイドロジェル(CMCも同様)は多糖類が主成分となっているために、万が一の破損の際、即時入れ替えが多少難しくなることです(また豊胸術後、バッグの周囲には皮膜が形成されており、こういう多糖類はこの皮膜に邪魔されて、意外と吸収されません)。
バッグによる豊胸術は大きな異物をいれる手術ですから、清潔な操作が求められます。体内に長く留まっていた多糖類は、一旦手術で外の空気に触れると、感染を引き起こす可能性があるのです。こういう状況での即時入れ替えは難しく、一旦手術で全てを摘出し、洗浄を十分に行って傷が治るのを待った後に、半年ぐらい待ってから改めて新しいバッグを入れていくことになります。
こういう中で、できるだけの耐久性と安定性に優れているのが、コヒーシブまたはソフトコヒーシブシリコンバッグであると、当院は考えています。シリコンは液状のジェルが周囲組織に浸透していき、様々な反応を起こして悲惨な状況を生んできたことは、一昔前に我々が遭遇したばかりです。こういう状況になると、取り出そうという場合には皮膚ごと摘出してこなければいけないことになってしまいます。
一方、固形のシリコンは昔から鼻や顎の形成に用いられてきていますし、金属アレルギーの方のピアスのポストなどにも使われています。また、医療の現場でも脳外科や心臓外科・一般外科などでも形を変えて用いられています。固形で、何かあった際にきちんと摘出が可能であるシリコンは、現時点で一番安定性・耐久性にすぐれた素材ということになるでしょう。
柔らかく、同時に周囲の膜が破損した際にちりぢりにならないシリコンはないか?という発想で生まれてきたのがコヒーシブシリコン。その中で、周囲組織に浸透していかない範囲で、できるだけ柔らかくしてあるのがソフトコヒーシブシリコンです。このバッグは各社出していますが、どれも外の膜は3層構造になっていて、膜自体が強いこと、また、前述のように破損したとしても入れ替えが容易であることなどが利点です。当院ではその中で一番柔らかいタイプのバッグ、ソフトコヒーシブシリコンを用いています。
例えばユーロシリコン社のクリスタルバッグ、マクギャン社のバイオセルバッグ、などがこの中に入ります。その他メンター社、PIP社などにも同様のバッグが存在します。また、どこから「ソフト」というカテゴリーにはいるのは現在、見解がまちまちです。当院では、通常の豊胸術ではこれらの中で一番柔らかいユーロシリコン社のES80(クリスタルバッグ)というタイプのバッグを使っています。ただ、乳癌の再建(少し形を作り込む必要があります)や多少お年を召した方の豊胸術で、皮膚の伸展性にかける場合などはマクギャン社のスタイル110(バイオセルバッグ)という、ES80よりは多少硬いタイプのバッグを用いることがあります。どちらも外の膜の加工が素晴らしく、強度・安全性等バッグとしては申し分ありません(もちろん全く破損しないというわけではありませんが)。

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